2018年 09月 03日
すこし長いお知らせです |
ほんの短い夏がすぎて すっかり秋の風。
今日はみなさんに大切なおしらせです。
長い間furu*furuとして作品を作り、みなさんに手にとっていただいてきました。
今思えばはじめの頃の作品は、まだまだ技術も未熟で、好きで作ったものが誰かに喜んでもらえるなら…という素人感覚のものでした。
この手で作ったものが誰かの日々の喜びになってくれたら…そんな気持ちはは今もまったく変わらないけれど、長い月日の間に作品の中心はすっかり刺繍になり、わたしの中でも「刺繍そのもの」を手にとってほしいという想いが強くなってきました。
このところは展示会の作品のほぼ9割が刺繍作品となり、生地のものはよっぽど気に入ったスカートくらい。
春に、大きな転機がありました。
いや、思えばもっともっと前なのかもしれない。
いろいろな出逢いで、わたしの作品をみていただく場に恵まれてきたけれど、いつもいつも出逢いがわたしをあたらしい世界へ送り出してくれました。
中には自分から扉をノックして開いたこともあるし、どうぞ と言われて入ってみたこともある。
恐る恐る開けてみたらそこから広がったり繋がったりしたこともある。
何度も同じ扉を開けて、そこはとても居心地の良い場所で、今も時々訪れる場所だったり。
今年のはじめ、昨年のことでスケジュールが大きく変わったこともあって思い切って大きな扉を叩いてみました。
千葉で行われる
「工房からの風」という野外展の応募でした。
クラフトの世界ではすこし特別な展示のようでした。
どうやらすごいところらしい ということ以外、ほとんど何もわからないけれど、ここで作品をみてもらえたら、これからのわたしのものつくりのその先に道を作ってくれるような気がしました。
50人という限られた枠の中に、もしも入ることができたなら。
大丸の展示中に、選考の通知が届いて
大きな封筒を震える手で開けると「ミーティングの日時」やこの展示のコンセプトが書かれていました。
大きな扉の鍵は、はっきりと見えないけれどずっしりと重たいような気がしました。
見えない重い鍵を握りしめて、千葉でのミーティングに参加すると
そこには熱い熱い風が吹いていて
「ようこそ」
と書かれてありました。
その時のことは今思い出しても胸がいっぱいになる。
語られる言葉に、目の前に用意された言葉に、何度も涙が滲むのをこらえながら
鍵が掌にあるのを感じました。
その中の言葉。
「あなたの ど真ん中を持ってきてください」
わたしのど真ん中。
コインケースは定番でずっと作り続けているもの。
スカートは「自慢してください」と手渡すほど、花をたくさん刺したもの。
ボストンは「ずっとみていたい」と、お客様がみんな言ってくれる、庭の風景。
これ というアイテムを絞れないなぁ
わたしのど真ん中はなんだろうなぁ
とそのミーティングの間、ずっと考えていて
ふと思いました。
「刺繍だ」
わたしのど真ん中は、刺繍そのものでした。
刺繍したものを、ぴらっとそのまま渡しても使えないから
そのために鞄やスカートやポーチやブローチにしているんだ。
暮らしの中で、それを手にしてすこしだけ今日も明るい気持ちでがんばろって思ってもらえたら嬉しい。
刺繍したものはほんの小さくてもこころをきっと豊かにしてくれるって信じてる。
そう思うと、「刺繍」という言葉がなんだかとても大切な気がしました。
「繍」という字はなんだかすてきな字だなぁ。
難しくて書き方もよくわからなかったけど、名刺にはこの文字をきちんと入れたいなぁと思い始めました。
そうして調べているうちに
「繍」の字は
そのひと文字で
「ぬいとり」と読むとしりました。
「ぬいとり」
なんてかわいい響き。
そして「繍」の文字の意味は
「刺繍そのもの」でした。
たくさんの出逢いから巡り合ってきたすべてのことはここに繋がっていたんだなぁと思います。
そんな想いとできごとの流れから
「furu*furu」は「繍〜ぬいとり〜」
に変わることになりました。
もう数ヶ月、そのための準備をしてきて
ようやくロゴマークが決まり、名刺やショップカードがまもなく完成するところ。
つい昨日、新しく ぬいとり のタグが完成して、ただ今作品に縫い付け作業中です。
長い間、furu*furuとしてみなさまにおなじみいただきましたこと本当に感謝です。
作品も、わたし自身もなにひとつ変わるわけではないけれどみなさんの目に触れる建物がちょっと新しくなった みたいな感じかな。
お引越し、みたいな。
あたらしいロゴは、おふたりのデザイナーさんにお願いしました。
森川瞬さん、早苗優里さんという、若いデザイナーのおふたりです。
何度も何度も、本当に何度も打ち合わせをして
丁寧に想いをこめて作ってくださいました。
作品をみて、わたしと話して
わたしの求めているもの、イメージしているもの、好きなもの、想い…
すべてを汲み取ってくれる力。
感性が合う、というだけではなくてそこにはプロフェッショナルがあるんだなぁとつくづく感じるふたり。
できあがってくるデザインがあんまりにかわいくて、わたしはずっと感動しっぱなしでした。
このふたりに恥じない仕事をしなければ、と思える人たちに出逢えて、これまたとても幸せなことでした。
「繍」の字を使ってわたしの作品のイメージをそのままかたちにしてくれたような
ロゴマーク。
名刺やショップカードはこれをさらにアレンジしてとてもすてきに仕上げてくれました。
作品につけるタグは
たからものが わたしにひとつ増えた気分です。
すべては 人の繋がりから。
たくさんの人たちに出逢って 支えられて、手を差し伸べてもらってここまできました。
今ブログを読んでくださっているみなさんもその中のおひとりです。
次にみなさんにお会いするときは
「繍〜ぬいとり〜」として立っていると思います。
ブログも新しくぬいとりのページをつくりました。
いままでと同じように、作品のことや日々のことを綴っていくことになると思います。
相変わらずの気ままな内容ですが引き続きお読みいただけたらとても嬉しいです。
すっかり長文になってしまいましたが
繍 ぬいとりとしてこれからもどうぞよろしくお願いいたします。
繍 〜ぬいとり〜
はたくみこ
あたらしいブログ
繍〜ぬいとり〜
http://nuitori.exblog.jp
by furu_0629
| 2018-09-03 10:52
| furu*furu